DAYS

『仮想の朝焼けに』

「ボーダープラス20。飛行に問題なし」
「フレア隊、降下を開始せよ」
オペレータの指示に従って、フレア1――機兵のコールサインだ。――は真下の開いた空間を見た。
朝日に照らされ輝く新緑の森が広がっていた。
降下の準備は既に整っている。
問題は心の方だった。
景色を見て、落ち着かせ、深呼吸。
「フレア1、降下開始」
両肩のロックボルトを外すようイメージ。
すぐにロックボルトが解除され、都市迷彩の機械の体が機外に落下する。
輸送機との安全距離に達したのを確認してから、機兵用のエアロボードを作動させる。
ボードが緑の光を纏い、推力と揚力を生む。
エーテルの濃度は十分で多少の無理をしても落ちることは無いだろう。
この調子ならすぐに味方の部隊と合流できそうだ。
『ステインから援護要請です。ポイントD:7:Sにて敵機竜隊と交戦中』
『他の部隊も向かっている。すぐに向かえ』
言われるまでもなくフレア隊全機は反転し、最大速度で夜の気配を残る空を駆ける。

後:『ゴーイングダウン・ブラック・アウト』