#author("2019-06-09T10:40:08+09:00","default:sesuna","sesuna") [[DAYS]] 肩に重みが、と左肩を見ると、カシスが身体を預けるように寄りかかっていた。目をぱちくりさせていると、彼女の銀色に輝く髪がさらさらと流れ、こちらの肩にかかった。 「この先の映画、知ってるの?」 耳に吐息がかかりそうな距離から彼女の声が聞こえる。 声が上ずらないよう注意しながら、知らないと答えた。 画面の中でも恋人同士が似たような姿勢で、じゃれあっていた。 「でも、ホラーだったよね、これ」 というと、画面の中の女性が突然、暴れ始めた。男は女を突き飛ばす。 テーブルの上に置いてある拳銃を握ると、迷わずに引き金をひく。 暴れだした女は、胸から青い血を流しながら床に倒れていた。 動く気配はない。 「……唐突にひどいなぁ」 感想を漏らしていると左側からの圧力が強まった。 声をかけるよりもはやく、カシスは動き、僕は態勢を崩した。 両腕は彼女に掴まれ、まるで押し倒されたかのような。 「私のこと、撃ってみる?」 「まさか」 正体もわかっているのだから、怖がることはない。 だから、僕は掴まれている手を引いて、彼女をより近くに、と引き寄せる。 身体に覆いかぶさるような形になって、彼女ははじめて顔を赤らめた。 「ちょっと、大人げなかったかしら?」 「いいスパイスだったよ」 彼女の唇にそっと唇を重ねてやる。 「銃弾よりはこ――」 せりふは最後までいわせなかった。