『彼女の視点』

何処に居るかはわからないが、人の気配が3人分。

新月の夜に頼りになるのは星明かりしかない。

「怖いよね」

護衛の兵士は少女の言葉を気にかけず、己の任務を果たす。

少女はこの兵士で遊ぼうかと思った。

が、すぐに意識を何処にいるかわからない3人に向ける。

「声をあげさせればいいんだよね」

「そうです。声があがれば、場所を割り出せます」

淡々と兵士の男は告げた。

「うん、ありがとう」

一息ついてから、

「それじゃ、少し遊ぼうか。敵のお兄さん」

その言葉から大して間の空かないうちに男の絶叫が響いた。

続いて、鈍い調子の砲撃音。

自分の仕事はこれで終わってしまった。

帰投の時間は短いが、暇な時間であることに違いはない。

横にいる護衛の兵士は非常に淡々としている。

感情の振れ幅も小さいのだろう。

きっと、揺さぶったところで面白くも何ともない。

そう、少女は考えて、輸送機の方に向かって歩き出す。

見上げた空には星だけがあった。