『増幅』

Observation Point、略してOPと呼ばれる監視場所が存在する。

少人数で敵の動きを監視し、動きがあれば報告する役割を持つ。

あくまで「目」の役割であり、敵に対抗するための武器は無いと言ってよい。

前線の前線とも呼べる場所で彼らはここしばらくの間、敵の監視を続けていた。

狭いOPの内部に男たちがうつ伏せの形で、東、西、南と警戒をしている。

東を見張っていた男が、西と南を見ていた男の足の裏を蹴る。

「今、物音がした」

「敵か?」

「わからない。だが、音はした」

男が冗談を言っているようには見えなかったが、

「聞こえないぞ」

「しーっ……本当に聞こえなくなるぞ」

3人は静かにするが、やはり、音は聞こえなかった。

東を見ていた男以外には。

「敵がいるっ」

そう叫んだ男の顔は恐怖に歪んでいた。

2人が男を黙らせようと動くが、黙らせる事はできなかった。

OPは砲撃を受けて爆砕したからだ。