『メンテナー』 をテンプレートにして作成
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[[DAYS]]
* 『メンテナー』 [#u28b66f8]
「もしかして、一騎か?」
背中から呼びかける声に振り返ると、見覚えのある顔があった。
見覚えがあると言っても、四捨五入すれば10年ぐらい昔に見た...
「お前、陽介か?」
「そうだよ。良く覚えてるなぁ。嬉しいよ」
と彼は人なつっこい笑みを浮かべて言った。
一騎は陽介のグレーのスーツ姿を見て、
「しかし、その格好、仕事か」
場所は防省の1Fのフロアだ。
スーツや制服を着込んだ人間が出入りの流れを作っている。
「ちょうど終わったんだ。立ち話も何だし、場所変えるか」
「そうだな、場所が場所だしな」
「AIメンテナー?」
一騎は陽介の差し出した名刺に書かれた文字を疑問符付きで読...
「そうそう。AIのメンテナー」
彼は出てきたカフェラテをおいしそうに飲みながら言った。
その様子を見て一騎は小動物を連想した。
高校の時から彼の雰囲気はほとんど、変わっていない。
「AIのメンテナンスか。と言うことは、コードに手を入れたり...
「いいや、違うよ」
「ふむ」
カップをおいて、
「簡単に言うと、AIの相談相手になるんだ」
「相談相手、か」
「乱暴に言えば、彼らの抱えている不安を分析する手伝いをす...
陽介の言葉に彼は「ほぅ」と言った。
「AIも人と同じようにみんなで支え合って己の役割を果たす」
「ふむ」
「負荷を分散するのが前提なんだよ」
「人が誰かに相談するのと同じか」
「まぁ、そうだね。人工知能とは言うけど、随分と人間っぽい...
「非人間的な扱いを受けているAIの味方か」
一騎の台詞に目を丸くしてから、
「味方とは言い切れないけど、それ、近いよ」
次に彼は真面目な顔になって、
「AIに接する人間が、AIの気持ちや考えを完全に無視してるん...
「自我を認めない扱いか」
「そんなところかな。地球圏だとそれで動作不良やダウンして...
「人工知能の精神疾患か。笑えないな」
「笑うところかもね」
「お前が皮肉を言うの、初めて聞いたぞ」
「作った人間が彼らを理解してないんだからさ」
彼は寂しそうに笑った。
「少しで良いんだ。彼らと一緒になって考えたりすれば、彼ら...
「大変な仕事だろう?」
「そうでもないよ。大して苦にもならない。むしろ、何で他の...
とは言っても、と彼は続ける。
「こちらじゃ仕事は無さそうだ。これはこれで複雑」
「アンドロイドやAIに対する理解は強いからな」
「理解と、それから来る対応の違いかな。地球圏だと相変わら...
「それは、寂しいな」
「頑張ってる彼らにありがとうの一言もないのはね。仕事でや...
「人でも病む状況だ。少なくとも俺はお断りだ」
「同じくね。そう言う一騎は何の仕事やってるんだ? 今、着て...
「ああ、UADSの専属アドバイザーだ」
「だから、担当の人は笑顔で断ったのかぁ」
ブラックのコーヒーを飲みながら一騎は陽介の言葉を聞いた。
「うちの会社でUADSのAIのメンテナンスさせてくださいってい...
一騎はあやうく、口に含んだコーヒーを吹き出しそうになった。
終了行:
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* 『メンテナー』 [#u28b66f8]
「もしかして、一騎か?」
背中から呼びかける声に振り返ると、見覚えのある顔があった。
見覚えがあると言っても、四捨五入すれば10年ぐらい昔に見た...
「お前、陽介か?」
「そうだよ。良く覚えてるなぁ。嬉しいよ」
と彼は人なつっこい笑みを浮かべて言った。
一騎は陽介のグレーのスーツ姿を見て、
「しかし、その格好、仕事か」
場所は防省の1Fのフロアだ。
スーツや制服を着込んだ人間が出入りの流れを作っている。
「ちょうど終わったんだ。立ち話も何だし、場所変えるか」
「そうだな、場所が場所だしな」
「AIメンテナー?」
一騎は陽介の差し出した名刺に書かれた文字を疑問符付きで読...
「そうそう。AIのメンテナー」
彼は出てきたカフェラテをおいしそうに飲みながら言った。
その様子を見て一騎は小動物を連想した。
高校の時から彼の雰囲気はほとんど、変わっていない。
「AIのメンテナンスか。と言うことは、コードに手を入れたり...
「いいや、違うよ」
「ふむ」
カップをおいて、
「簡単に言うと、AIの相談相手になるんだ」
「相談相手、か」
「乱暴に言えば、彼らの抱えている不安を分析する手伝いをす...
陽介の言葉に彼は「ほぅ」と言った。
「AIも人と同じようにみんなで支え合って己の役割を果たす」
「ふむ」
「負荷を分散するのが前提なんだよ」
「人が誰かに相談するのと同じか」
「まぁ、そうだね。人工知能とは言うけど、随分と人間っぽい...
「非人間的な扱いを受けているAIの味方か」
一騎の台詞に目を丸くしてから、
「味方とは言い切れないけど、それ、近いよ」
次に彼は真面目な顔になって、
「AIに接する人間が、AIの気持ちや考えを完全に無視してるん...
「自我を認めない扱いか」
「そんなところかな。地球圏だとそれで動作不良やダウンして...
「人工知能の精神疾患か。笑えないな」
「笑うところかもね」
「お前が皮肉を言うの、初めて聞いたぞ」
「作った人間が彼らを理解してないんだからさ」
彼は寂しそうに笑った。
「少しで良いんだ。彼らと一緒になって考えたりすれば、彼ら...
「大変な仕事だろう?」
「そうでもないよ。大して苦にもならない。むしろ、何で他の...
とは言っても、と彼は続ける。
「こちらじゃ仕事は無さそうだ。これはこれで複雑」
「アンドロイドやAIに対する理解は強いからな」
「理解と、それから来る対応の違いかな。地球圏だと相変わら...
「それは、寂しいな」
「頑張ってる彼らにありがとうの一言もないのはね。仕事でや...
「人でも病む状況だ。少なくとも俺はお断りだ」
「同じくね。そう言う一騎は何の仕事やってるんだ? 今、着て...
「ああ、UADSの専属アドバイザーだ」
「だから、担当の人は笑顔で断ったのかぁ」
ブラックのコーヒーを飲みながら一騎は陽介の言葉を聞いた。
「うちの会社でUADSのAIのメンテナンスさせてくださいってい...
一騎はあやうく、口に含んだコーヒーを吹き出しそうになった。
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