『あおはるゆーす【Strobe 3】』 をテンプレートにして作成
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開始行:
[[DAYS]]
* あおはるゆーす [#n9dab278]
家計簿アプリを見て、交際費の割合が増えつつあること気が...
「バイトするかい?」
「なんのバイトですか」
「採点」
「それ前に1時間500円ぐらいでしたよね」
「いい記憶力だ。奢ってもらったら?」
「意地はあるんですよ、学生でも」
「相手が社会人だと限界あるんじゃないか」
教授の言葉に動きを止める。いやいや、ここでそういう話は...
「初歩的なことだよ」
「原作読んでないのにネタにするのやめましょうよ」
「これは手厳しい。しかし、話題を逸らすには今一歩だね」
「いつまで食いつくんですか」
「教え子が経済的困難から脱するのを見届けるまで」
「なら、まだ落ちてないですよ」
その必要はないの意味を込めて言う。教授は一瞬、苦笑して...
「採点のバイトはさておき、バイトは紹介できる。必要になっ...
教授はそう言って扉を開け、何か思い出したらしく、立ち止...
「何になるかはその時次第だけどね」
●
"明日はどこへ行く?"
彼女からのメッセージだ。会う約束まではして、具体的にど...
"難しいなら難しいといってほしい"
難しいというのが難しい。眉間に皺ができていることに気が...
"難しくはないです"
何が言いたのかわからないぞ、と自分のメッセージにあきれ...
"わかった。明日はこの駅で合流しましょう"
指定されたのは大学の最寄り駅だ。普段、一緒に行く博物館...
"会えるのを楽しみにしてる"
"はい!"
ちょっと、はしゃぎすぎたか?
●
翌日、見慣れた駅の改札に彼女が立っていた。薄手のダウン...
「すみません、待ちましたか?」
「ちょうど来たところよ」
彼女は柔らく微笑んだ。この笑顔だけはどこでも変わらない。
「このあたりには不慣れなの」
と彼女は微笑んだまま、こちらに手を差し出して、
「エスコート、よろしくね」
この人に不慣れな場所はあるのだろうか、と浮かんできた疑...
最初に案内したのは新書から古書まで扱っている本屋だ。狭...
「大学に近いだけあるわね」
彼女は法律関係の本を手に取って、ぱらぱらとめくってから...
「線引いてますね」
「次のテストで出る、ね。付箋もそのままだから、同じ講義を...
「意外と法改正や新しい判例で変わるから、むしろ逆かもしれ...
「ふふ、難しいわね」
本をもとの棚に戻して、次の列に向かう。本を読むというよ...
「どんな本が扱われているかを見れば、その街がわかる。そう...
「コンビニの品ぞろえでわかる、と聞いたことはあります」
「似たようなものよ」
そうすると彼女には学生街の本屋らしい、と思っているのか...
本屋の外に出ると腹の虫が鳴った。何もこんな時にならなく...
「お昼にちょうどいい時間ね」
「そうですね。何か食べたいものはありますか?」
「普段、あなたが食べているものがいいわ」
「それだと学食なんですが、今日は閉まってるので――」
こういう時にいいお店といえば、何でも屋があった。手頃な...
「そこの4人席が空いてるよ」
と一言。ここは安定のぶっきらぼうだと思いつつ座る。テー...
「ありがとう」
メニューに目を通しながら、彼女は小声で、
「無愛想なヒトと縁があるようね」
こちらも顔を近づけて小声で返す。
「ホットサンドのお店」
「そう、そこを思い出したわ」
確かに似てる。そんなやり取りをしながら、注文を決めてい...
「ハーフサイズではないのね」
「たくさん食べたいときに助かるんですよ」
「なるほどね」
何がなるほどなのだろうか。
●
彼女も彼女でボリュームのあるハンバーグ定食を上品に食べ...
会計を済ませて店を出る。時刻は14時で喫茶店に入るにはま...
「しばらく、歩きましょうか」
「そうですね」
彼女の提案で街を散策することになった。あの変わったデザ...
さすがに足も疲れてきたので喫茶店に入る。平日なら学生で...
「今日もいろいろ見つかったでしょう」
メニューを見ながら彼女は言った。
「ええ、こういう場所だったんだ、と驚きました」
「意外と同じ道しか通らないから、一本外れるだけで違う光景...
「そうですねえ」
渡されたメニューを受け取って、コーヒーの一覧を眺める。...
「こういうのも悪くないと、私は思うのよ」
「こんな場所でも?」
「どんな場所でも、と言ったら強気かしら」
くすっと彼女は笑って言葉を続ける。
「あなたが告白のときにいった言葉、覚えてる?」
店員を呼ぼうとした体が止まる。一緒に過ごしていろんなこ...
「ここで言わないでくださいよ」
「覚えているならいいわ。散策したから見えたものもあるでし...
路地裏で寝ている猫なら逃げられない、と言っていた彼女を...
「普段過ごしている景色を見せてもいい頃合いだと思うの」
でも、彼女、普段過ごしている場所も高そうだ、と思う。
「毎日、あなたを連れて行ったお店で食事していたら、生活が...
「心が読めるんですか?」
「顔の横に吹き出しがでてるのよ。特別な日や少し頑張りたい...
「普通は何を食べてるんですか?」
「立ち食いそばとか」
「えー」
いや、ファストフード食べてるのだから、はやい店を選んで...
「吹き出し」
「何か意外です」
「そのうち意外が当たり前になるわ。一緒に過ごしていればね」
「確信に満ちてますね」
「あなたより長生きしているもの」
彼女は笑いながら店員を呼び、チョコレートケーキと紅茶を...
「あなたは?」
「ホットコーヒーをひとつ。それと、チョコレートケーキを」
彼女が意外そうな顔をした。
「吹き出し、出てますよ」
自分がそういうと、彼女は頬杖を崩して笑った。
終了行:
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* あおはるゆーす [#n9dab278]
家計簿アプリを見て、交際費の割合が増えつつあること気が...
「バイトするかい?」
「なんのバイトですか」
「採点」
「それ前に1時間500円ぐらいでしたよね」
「いい記憶力だ。奢ってもらったら?」
「意地はあるんですよ、学生でも」
「相手が社会人だと限界あるんじゃないか」
教授の言葉に動きを止める。いやいや、ここでそういう話は...
「初歩的なことだよ」
「原作読んでないのにネタにするのやめましょうよ」
「これは手厳しい。しかし、話題を逸らすには今一歩だね」
「いつまで食いつくんですか」
「教え子が経済的困難から脱するのを見届けるまで」
「なら、まだ落ちてないですよ」
その必要はないの意味を込めて言う。教授は一瞬、苦笑して...
「採点のバイトはさておき、バイトは紹介できる。必要になっ...
教授はそう言って扉を開け、何か思い出したらしく、立ち止...
「何になるかはその時次第だけどね」
●
"明日はどこへ行く?"
彼女からのメッセージだ。会う約束まではして、具体的にど...
"難しいなら難しいといってほしい"
難しいというのが難しい。眉間に皺ができていることに気が...
"難しくはないです"
何が言いたのかわからないぞ、と自分のメッセージにあきれ...
"わかった。明日はこの駅で合流しましょう"
指定されたのは大学の最寄り駅だ。普段、一緒に行く博物館...
"会えるのを楽しみにしてる"
"はい!"
ちょっと、はしゃぎすぎたか?
●
翌日、見慣れた駅の改札に彼女が立っていた。薄手のダウン...
「すみません、待ちましたか?」
「ちょうど来たところよ」
彼女は柔らく微笑んだ。この笑顔だけはどこでも変わらない。
「このあたりには不慣れなの」
と彼女は微笑んだまま、こちらに手を差し出して、
「エスコート、よろしくね」
この人に不慣れな場所はあるのだろうか、と浮かんできた疑...
最初に案内したのは新書から古書まで扱っている本屋だ。狭...
「大学に近いだけあるわね」
彼女は法律関係の本を手に取って、ぱらぱらとめくってから...
「線引いてますね」
「次のテストで出る、ね。付箋もそのままだから、同じ講義を...
「意外と法改正や新しい判例で変わるから、むしろ逆かもしれ...
「ふふ、難しいわね」
本をもとの棚に戻して、次の列に向かう。本を読むというよ...
「どんな本が扱われているかを見れば、その街がわかる。そう...
「コンビニの品ぞろえでわかる、と聞いたことはあります」
「似たようなものよ」
そうすると彼女には学生街の本屋らしい、と思っているのか...
本屋の外に出ると腹の虫が鳴った。何もこんな時にならなく...
「お昼にちょうどいい時間ね」
「そうですね。何か食べたいものはありますか?」
「普段、あなたが食べているものがいいわ」
「それだと学食なんですが、今日は閉まってるので――」
こういう時にいいお店といえば、何でも屋があった。手頃な...
「そこの4人席が空いてるよ」
と一言。ここは安定のぶっきらぼうだと思いつつ座る。テー...
「ありがとう」
メニューに目を通しながら、彼女は小声で、
「無愛想なヒトと縁があるようね」
こちらも顔を近づけて小声で返す。
「ホットサンドのお店」
「そう、そこを思い出したわ」
確かに似てる。そんなやり取りをしながら、注文を決めてい...
「ハーフサイズではないのね」
「たくさん食べたいときに助かるんですよ」
「なるほどね」
何がなるほどなのだろうか。
●
彼女も彼女でボリュームのあるハンバーグ定食を上品に食べ...
会計を済ませて店を出る。時刻は14時で喫茶店に入るにはま...
「しばらく、歩きましょうか」
「そうですね」
彼女の提案で街を散策することになった。あの変わったデザ...
さすがに足も疲れてきたので喫茶店に入る。平日なら学生で...
「今日もいろいろ見つかったでしょう」
メニューを見ながら彼女は言った。
「ええ、こういう場所だったんだ、と驚きました」
「意外と同じ道しか通らないから、一本外れるだけで違う光景...
「そうですねえ」
渡されたメニューを受け取って、コーヒーの一覧を眺める。...
「こういうのも悪くないと、私は思うのよ」
「こんな場所でも?」
「どんな場所でも、と言ったら強気かしら」
くすっと彼女は笑って言葉を続ける。
「あなたが告白のときにいった言葉、覚えてる?」
店員を呼ぼうとした体が止まる。一緒に過ごしていろんなこ...
「ここで言わないでくださいよ」
「覚えているならいいわ。散策したから見えたものもあるでし...
路地裏で寝ている猫なら逃げられない、と言っていた彼女を...
「普段過ごしている景色を見せてもいい頃合いだと思うの」
でも、彼女、普段過ごしている場所も高そうだ、と思う。
「毎日、あなたを連れて行ったお店で食事していたら、生活が...
「心が読めるんですか?」
「顔の横に吹き出しがでてるのよ。特別な日や少し頑張りたい...
「普通は何を食べてるんですか?」
「立ち食いそばとか」
「えー」
いや、ファストフード食べてるのだから、はやい店を選んで...
「吹き出し」
「何か意外です」
「そのうち意外が当たり前になるわ。一緒に過ごしていればね」
「確信に満ちてますね」
「あなたより長生きしているもの」
彼女は笑いながら店員を呼び、チョコレートケーキと紅茶を...
「あなたは?」
「ホットコーヒーをひとつ。それと、チョコレートケーキを」
彼女が意外そうな顔をした。
「吹き出し、出てますよ」
自分がそういうと、彼女は頬杖を崩して笑った。
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