#author("2018-05-20T20:50:23+09:00","default:sesuna","sesuna") [[DAYS]] 膨張した太陽に地球は焼かれていた。気温は上昇し、様々な生き物が地上から姿を消した。人類も間もなく、そうなるだろう。誰もがそう思っていた。その時だった。 「私と星になりましょう」 というメッセージが届いたのは。 メッセージの送り主はあの、FSだった。人類が初めて接触した地球外生命体。人類と戦った地球外生命。メッセージには詳細が書かれており、かいつまんで説明すると地球と同じサイズの惑星型FSが存在するのだという。そこに住む、あるいはFSとの同化を提案してきたのだ。 同化といっても、人間の体を捨ててFSの身体にし、精神などは独立した存在として扱ってくれるらしい。一応、星の地上付近に住むことはできるが、それよりは同化したほうが楽だろう、とのことだった。こうして、おれたちのエンディングに種類が増えた。 地球に残る者、FSと同化を選ぶ者、FSの惑星に住む者、自分は2番目だった。この環境の変化に体はぼろぼろだ。ほかの惑星に適応できる力もないだろう。それでも、生きていたいのだ、おれは。 同化したといっても、これといった変化は感じられなかった。FSに同化された人間が共同生活を送る仮想的な空間は、現実の街と大差がなかった。大きく違うのは快適さだ。地上の苦しみがうそのようだった。 「これは旅支度に過ぎない。あなたたちと私はこれから、宇宙を彷徨することになる」 街中にあのFSの声が響く。 「居住可能な惑星を見つけて、そこに移り住むもよし。ここに住むのもよし。私は皆の意思を尊重するわ。そして、あなたたちと私たちの旅に幸運を」 こうして、おれたちは星になった。