『剣戟の音』 をテンプレートにして作成
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開始行:
[[DAYS]]
「ちっ」
ハガラズは舌打ちをした。
振り下ろした大剣が横からの打撃で軌道が外れたのだ。
大剣の刃そのものは超高速で振動しており、重量だけでも対象...
それた刃はアスファルトの地面に火花を散らしながら突き刺さ...
「終わり?」
目の前に立つ少女は見下ろすように言った。
刃を殴ったはずの右手は無傷だ。
「んなわけねーだろ」
剣の柄を握ったまま、スラスターを使ってバックステップする。
しかし、どうする、とハガラズは自分に問う。
力は彼のほうが上だが、速度は少女のほうが勝っている。
そして、彼は大剣を使っているため動作の隙が大きい。
対する少女は繰りのはやい双剣を握っている。
リーチの差があるにしても、大剣をかわして殴るといった芸当...
近距離なら自信あったんだがなぁ、とハガラズは思いつつ、剣...
少女は青みがかかった白い刃の双剣を握っていた。
イクサイスの能力で作られた氷の剣だ。
原料が水なので大気中、川、湖、貯水槽、生物体内とどこから...
人間向けのイクサイスは装備者のカロリー、アンドロイド向け...
前にいる少女が使っているイクサイスは正規のものではないが...
やろうと思えばこの10m程度の距離でもこちらを凍結させ――
「おいィ!?」
ハガラズは頭上から冷気が降りてくるのを感じて右にステップ。
次の瞬間、彼が先までいた場が真っ白になった。
噂すればなんとやらだ、とハガラズは横道に走る。
冷気が降りてくるあたり、凍結させるには若干のラグがかかる...
走れば少なくともあれはあたらない、と彼は判断して速度をあ...
しかし、あのイクサイスユニットをどうにかして止めなければ...
イクサイスユニットは大きく分けて空調機能を持つ本体とそれ...
制御ユニットは頭部の帽子がそうだ。
装備者から帽子を奪えば機能は止まるはずだ。
どれだけの時間、機能停止しているかわからないが、5秒あれば...
視線を感じて左を見るとビルのガラスの反対側を少女が並走し...
ハガラズと目が合うと少女は微笑んで、右の手でガラスをなぞ...
「なん、だ」
少女がなぞったあとに氷の塊が生じていた。
直径は30mm。
嫌な予感がしてハガラズは全身のスラスターを推力最大にした。
スラスターの音をかき消すようにガラスの破砕音が響いた。
衝撃がかすった左足のショックアブソーバーが悲鳴をあげる。
もう少し判断が遅れていれば左足どころか全身が砕けていただ...
ビルを飛び越えて左を見ると、少女が横を飛んでいた。
その軌跡には氷の砲弾が並んでいる。
「げっ」
という言葉に少女はやはり、微笑んで砲撃を開始した。
これ以上は速くならない。
だったら、とハガラズは大剣を前に向かって投げた。
側面がこちらに見えるように。
スラスターを止め、空中で半回転して、刃を思いっきり蹴った。
再びスラスターを点火して飛翔する。
その先には驚いたように目を開いた少女がいる。
右で拳を作り後ろに引くと、双剣を胸の前で交差させ防御姿勢...
ハガラズはそのまま、左手を伸ばしペンギンの形をした帽子を...
振り返れば、帽子を奪われたことに少女が驚いていた。
めったに驚かない奴が驚くのは新鮮だな、とハガラズは思いな...
「さっきはすまなかったな」
そう言って蹴りあげた剣の柄を両の手で掴み、剣先を少女に向...
斬るではなく、剣の質量と加速のエネルギーで打撃を与える攻...
少女は避ける素振りを見せることなく、先と同じ防御の姿勢を...
全身で風を斬る音を聞きながら、
「いっけぇ!」
彼は叫ぶ。
剣先が少女の目の前まで来た時だ。
少女は両の手に握った剣を前に出した。
左を下に、右を上に交差させて、大剣を挟むように斬る。
双剣の刃先が高振動の刃に削り、砕かれていく。
が、少女はそのまま、上に足をあげる。
自身の羽の推力とこちらの力を使い、軸にして前方倒立転回す...
少女はスカートを翻しながら後ろに抜けていた。
そして、
「そのままだと壁にぶつかるわよ」
と告げた。
減速しようと姿勢を変えようとして気づいた。
スラスターに必要なエネルギーが尽きていることに。
足からビルの強化コンクリートに激突した。
脚部の破損信号を処理するよりもはやく、彼の意識は消失した...
死亡判定で現実に帰ってくる感覚はどうもなれない。
人間はリアルな夢から覚めると、現実と夢の境が曖昧に感じる...
「あー……」
と呻きながら彼は目の前に座る少女を眺める。
先の戦闘は仮想空間上でやっていた模擬の戦いではあるが、下...
「お疲れ様」
「お前もな」
とはいったが少女には疲れの欠片も見られなかった。
「イクサイスユニットを止める、というのはいい考えだと思う...
「そいつはどーも」
止めたところであまり、意味はなかったがな、とハガラズは心...
「そう、やさぐれないでちょうだい」
心のなかでついたつもりだったらしい。
「俺だって凹む時があんだよ」
止めを刺されたのではなく、自爆したのだから凹みたくもなる。
ただでさえ、近距離は自分の距離だと思っていたのに。
「あなたの動きは直線的過ぎるのよ」
少女は静かに告げた。
「うぐ」
ショックを受け顔をひきつらせるハガラズ。
数秒の間をおいて、
「それは、余計な力が入っているからだと思うわ」
「余計な力ねぇ」
「その力を抜けば動きは柔らかくなるはずよ」
「でもよ、それはひとつひとつの動きの話しだろ」
「ひとつの動きが流れを作っていく。そうは考えられないかし...
実にその通りだとハガラズは頷いてから、テーブルに突っ伏し...
少女が敵だったことに、今は味方であることに感謝しながら。
終了行:
[[DAYS]]
「ちっ」
ハガラズは舌打ちをした。
振り下ろした大剣が横からの打撃で軌道が外れたのだ。
大剣の刃そのものは超高速で振動しており、重量だけでも対象...
それた刃はアスファルトの地面に火花を散らしながら突き刺さ...
「終わり?」
目の前に立つ少女は見下ろすように言った。
刃を殴ったはずの右手は無傷だ。
「んなわけねーだろ」
剣の柄を握ったまま、スラスターを使ってバックステップする。
しかし、どうする、とハガラズは自分に問う。
力は彼のほうが上だが、速度は少女のほうが勝っている。
そして、彼は大剣を使っているため動作の隙が大きい。
対する少女は繰りのはやい双剣を握っている。
リーチの差があるにしても、大剣をかわして殴るといった芸当...
近距離なら自信あったんだがなぁ、とハガラズは思いつつ、剣...
少女は青みがかかった白い刃の双剣を握っていた。
イクサイスの能力で作られた氷の剣だ。
原料が水なので大気中、川、湖、貯水槽、生物体内とどこから...
人間向けのイクサイスは装備者のカロリー、アンドロイド向け...
前にいる少女が使っているイクサイスは正規のものではないが...
やろうと思えばこの10m程度の距離でもこちらを凍結させ――
「おいィ!?」
ハガラズは頭上から冷気が降りてくるのを感じて右にステップ。
次の瞬間、彼が先までいた場が真っ白になった。
噂すればなんとやらだ、とハガラズは横道に走る。
冷気が降りてくるあたり、凍結させるには若干のラグがかかる...
走れば少なくともあれはあたらない、と彼は判断して速度をあ...
しかし、あのイクサイスユニットをどうにかして止めなければ...
イクサイスユニットは大きく分けて空調機能を持つ本体とそれ...
制御ユニットは頭部の帽子がそうだ。
装備者から帽子を奪えば機能は止まるはずだ。
どれだけの時間、機能停止しているかわからないが、5秒あれば...
視線を感じて左を見るとビルのガラスの反対側を少女が並走し...
ハガラズと目が合うと少女は微笑んで、右の手でガラスをなぞ...
「なん、だ」
少女がなぞったあとに氷の塊が生じていた。
直径は30mm。
嫌な予感がしてハガラズは全身のスラスターを推力最大にした。
スラスターの音をかき消すようにガラスの破砕音が響いた。
衝撃がかすった左足のショックアブソーバーが悲鳴をあげる。
もう少し判断が遅れていれば左足どころか全身が砕けていただ...
ビルを飛び越えて左を見ると、少女が横を飛んでいた。
その軌跡には氷の砲弾が並んでいる。
「げっ」
という言葉に少女はやはり、微笑んで砲撃を開始した。
これ以上は速くならない。
だったら、とハガラズは大剣を前に向かって投げた。
側面がこちらに見えるように。
スラスターを止め、空中で半回転して、刃を思いっきり蹴った。
再びスラスターを点火して飛翔する。
その先には驚いたように目を開いた少女がいる。
右で拳を作り後ろに引くと、双剣を胸の前で交差させ防御姿勢...
ハガラズはそのまま、左手を伸ばしペンギンの形をした帽子を...
振り返れば、帽子を奪われたことに少女が驚いていた。
めったに驚かない奴が驚くのは新鮮だな、とハガラズは思いな...
「さっきはすまなかったな」
そう言って蹴りあげた剣の柄を両の手で掴み、剣先を少女に向...
斬るではなく、剣の質量と加速のエネルギーで打撃を与える攻...
少女は避ける素振りを見せることなく、先と同じ防御の姿勢を...
全身で風を斬る音を聞きながら、
「いっけぇ!」
彼は叫ぶ。
剣先が少女の目の前まで来た時だ。
少女は両の手に握った剣を前に出した。
左を下に、右を上に交差させて、大剣を挟むように斬る。
双剣の刃先が高振動の刃に削り、砕かれていく。
が、少女はそのまま、上に足をあげる。
自身の羽の推力とこちらの力を使い、軸にして前方倒立転回す...
少女はスカートを翻しながら後ろに抜けていた。
そして、
「そのままだと壁にぶつかるわよ」
と告げた。
減速しようと姿勢を変えようとして気づいた。
スラスターに必要なエネルギーが尽きていることに。
足からビルの強化コンクリートに激突した。
脚部の破損信号を処理するよりもはやく、彼の意識は消失した...
死亡判定で現実に帰ってくる感覚はどうもなれない。
人間はリアルな夢から覚めると、現実と夢の境が曖昧に感じる...
「あー……」
と呻きながら彼は目の前に座る少女を眺める。
先の戦闘は仮想空間上でやっていた模擬の戦いではあるが、下...
「お疲れ様」
「お前もな」
とはいったが少女には疲れの欠片も見られなかった。
「イクサイスユニットを止める、というのはいい考えだと思う...
「そいつはどーも」
止めたところであまり、意味はなかったがな、とハガラズは心...
「そう、やさぐれないでちょうだい」
心のなかでついたつもりだったらしい。
「俺だって凹む時があんだよ」
止めを刺されたのではなく、自爆したのだから凹みたくもなる。
ただでさえ、近距離は自分の距離だと思っていたのに。
「あなたの動きは直線的過ぎるのよ」
少女は静かに告げた。
「うぐ」
ショックを受け顔をひきつらせるハガラズ。
数秒の間をおいて、
「それは、余計な力が入っているからだと思うわ」
「余計な力ねぇ」
「その力を抜けば動きは柔らかくなるはずよ」
「でもよ、それはひとつひとつの動きの話しだろ」
「ひとつの動きが流れを作っていく。そうは考えられないかし...
実にその通りだとハガラズは頷いてから、テーブルに突っ伏し...
少女が敵だったことに、今は味方であることに感謝しながら。
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