[[DAYS]]

派手に水しぶきをあげて白髪の青年が海に姿を消したのを見て、
「いつもどおりね」
とビーチパラソルの下で体を休めていた白の少女は呟いた。
「助けにいかないの?」
と横で寝転がっていた黒の少女が続ける。
「体が冷えているから難しいわ」
体が冷えると水に沈みやすくなる。
泳ぐのに余計に体力を使うため非常に疲れるのだ。
「向こうの戦闘用アンドロイドは10気圧まで耐えられるから大丈夫よ」
「えーっと、どういうこと?」
「10m潜ると1気圧かかるの。だから、100mまで潜っても死なないわ」
「……いいのかなぁ」
「もう少し経ってあがらないようなら助けにいくわ」
そういうと彼女は立ち上がって柔軟を始めた。
「あがってこないのが前提なの?」
黒の少女は笑う。
「あのあたり、急に深くなってるの。崖から落ちたようなものね」
さらりと白の少女は恐ろしいことを告げる。
「……えっと、本当に大丈夫なの?」
「ええ、大丈夫よ」
そう言って、白の少女は右手のほうにある桟橋に向かって歩き出す。
「戻ったらまた、沖まで行きましょう」
「気をつけてね」
白の少女は桟橋の先に経つと放物線を描いて水に飛び込んだ。