このゲームの正式版が出てから今日で12年になる。
最初の数年は夢中になってやっていたけど、生活が変わってから1日あたりのプレイ時間は減っていった。1日中プレイしていたのが1日数時間、1時間、数日に1時間、1週間、1か月と伸びて、気が付いたらブランクができてしまった。
ボク(一人称を思い出すのに時間がかかった)が知っているロビーは今では1Gロビーと呼ぶらしい。宇宙進出が始まり、宇宙ステーションが作られるとそこに2Gロビーが作られた。
1Gロビーは運営が全部作ったもので、2Gロビーはプレイヤーが作ったものに運営が間借りしている。それは確かに第2世代なのかも。
3Gロビーはほかの惑星上、4Gロビーは他の星系のどこか、5Gロビーはなんと銀河の真ん中近くにあるらしい。
地上でモンスター狩りをやっていたボクには想像がつかない世界が広がっている。とはいっても、3Gロビーを通って、違う惑星で違うフィールドを冒険できる。
実際にやったら冒険できてしまったのでちょっと、感動している。流石に装備が古くなっていたので、武器屋にいって改良をお願いした。
久しぶりにINしたんだ、と言ったら嬉しそうに調整をはじめた。出来上がった装備は、見た目そのままに性能が跳ね上がっていた。
試し斬りと試し撃ちの後に恐る恐る料金を聞いたら、店主はサービスだ、と笑った。
今後もあのお店で買い物を積極的にしよう。
話が脱線した。
他の惑星でいつも通りの冒険ができたことに感動した。
新しい職業、新しい装備、新しいロビー、新しい街、新しいフィールド……場所だけじゃなくて、できることも増えたけど、昔ながらのこともできる。
ここ数日で登録者が増えたフレンドリストを見ると、大勢のプレイヤーたちが今日を祝うためにオンラインになっている。
場所はさすがにばらばらだけど、皆、自分が初めて最初に入ったロビーやよく使っているロビーに入っているようだ。
リストを見ると懐かしい名前があった。たまたま狩りの後にフレンドになって、そのあともロビーで雑談していたプレイヤーだ。
彼なのか彼女なのかもわからないあの人。
久しぶりすぎてどんな話をしようか悩んでしまう。元気だとわかっただけでも嬉しい。あの人も同じようなことを思っていたらいいな。
ボクは3Gロビーにあるゲートに飛び込むと、行き先を指定した。
場所はもちろん、最初に作られた、あのロビー。