・・・・・・。 ぴたん。 ・・・・・・。 何処? 暗闇に水の落ちる音だけが響く。 ゆっくりと瞼を開くとまた暗闇だけが広がっていた。 昨日見た夢と同じ。 また同じように青色の影が浮かんでいた。 「ウンディーネ・・・?」 でも返ってこない。 膝を両腕で抱えるように浮かんでいた。 薄く透き通った殻のようなものがウンディーネを包んでいる。 まるで卵の殻だ。 気がつくとまわりの景色が見えてきた。 底は暗く何も見えなくて天井は太陽の光できらきら輝いている。 正面に見えるウンディーネは動かなかった。 眠っているように見える。 微かに胸の当たりが光っているのに気づいた。 確か・・・ウィルの一次元刀が当たったところ。 手応えは無かったって言っていた。 傷は実際にはあった、どうして。 ゆっくりと両足を動かしそばに寄ろうとする。 身体がゆっくりとでも確実に前に進む。 殻のようなものに手を触れる。 感触が無いまま通ってしまい慌てて引っ込めた。 また恐る恐る手を伸ばし身体に触れそうなところで止めた。 「痛そう・・・」 思わず口からそんな言葉が漏れた。 自分で戦っておいて間が抜けているかも知れない。 ただの偽善かも知れない。 「少しでも・・・あなたの傷が癒えますように・・・」 ヒールの呪文を唱える。 彼女の表情が微かに変わる。 大晶霊には痛みとかそういう感覚は無い、そんな話がある。 例え痛まなくても傷は傷。 身体は痛くなくても「心」というものは痛いかも知れない。 精神と物質の間を行き来する者なのだから。 傷が塞がるか塞がらないかのところでウンディーネと目が合った。 「あ・・・」 「!」 ウンディーネが驚くような表情をした、気がする。 優しく微笑まれどうしようか悩む。 「先ほどは・・・すみませんでした」 自分ながらなんて事言っているんだ、心の中で苦笑した。
「気にすることはありません。・・・ここはあなたのいるべき世界ではありません。あるべき所に帰るのです」 身体が勝手に浮き上がりあっという間にウンディーネが小さくなる。 水面に浮かび出た。 ただ何も無い青空だけが広がっていた。 瞬きをした。 ほんの一瞬だけ暗闇が広がりウィルの顔が正面にあった。 「おはよう、レイル」 「・・・夢?」 「寝ぼけてる?」 「ん、あ、いえ・・・少しだけ」 体を起こしながら言った。 「今日はここからでてレイルのお兄さんに会いに行くんだから」 「そうですね。今日も頑張りましょう」
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