仮想情報空間の大事故

仮想情報空間の草創期にアクセス方法について議論がなされた。
空間内に仮想の身体を作成し、操作する方法と肉体を分解し空間内にて再構築する方法が提案され、それぞれ研究が始まった。
前者の場合は仮想情報空間内で出来ることは少ないが、安全性が高く、後者の場合は仮想情報空間内で出来ることは多いが、危険性が高い、と一長一短でどちらが優れているのか証明するように研究は加速した。
加熱する研究競争の中で、後者の方法で大規模な事故が発生し、研究施設の半径1.2kmが消滅した。
原因は物質情報変換機構の暴走。
幸い、実験施設が市街地から離れていたため、民間人が巻き込まれることは無かったが、データも施設も人材も何もかもを失うことになった。
この事故を発端に前者の方法を採用することになり、後者の方法は凍結されることになる。