『夏風邪 をテンプレートにして作成
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[[DAYS]]
午後の講義が休講になってしまい、膨大な時間をどう過ごそう...
メッセージの差出人はカシスだ。
風邪をひいたので看病してほしい、と簡潔な内容だったが僕は...
彼女が風邪を引くとは考えにくいからだ。
風邪を引いているかどうか確かめるのもありか、と安さだけが...
しかし、夏風邪かぁ、と電車の窓の外を見る。
あんな姿かたちを自由に変える宇宙生物が地球の風邪を引くの...
もっと、性質が悪いもので人類もころっとやってしまうような...
ま、それはないか、と考え直して電車を降りる。
ホームに出ると蒸気を含んだ空気が身体を包む。
全身から汗が噴き出すを感じながら、彼女の部屋があるマンシ...
途中、コンビニでスポーツドリンクとゼリーを買ったけど、こ...
玄関ホールの機械で部屋番号を入力し、呼び鈴を鳴らす。
やや、間があってから「入って」の声。
いつもより元気がない。
ありがとう、と返事をして中に入る。
エレベータが彼女のいるフロアに向かうにつれて、風邪ではな...
部屋の前につくころには心配になっていて、鍵が開くと扉を勢...
間取りは覚えている。
靴を脱いで彼女の寝室に向かう。
ノックをすると、
「どうぞ」
と彼女の声。
いつもよりおとなしい声だった。
ドアノブに手をかけ、静かに回して、押す。
視界に飛び込んできたのはベッドでぐったりとしているカシス...
こういう時、1DKの部屋はありがたい。
「大丈夫、ではなさそうだね」
「ええ、ごめんなさい」
「呼び出しておいてずいぶんと弱気じゃないか」
椅子をベッドの隣において座る。
彼女はこほこほ、と咳をした。
「何がいいかわからないから、一般的なものを買ってきたよ」
「ありがとう」
その声は普段の彼女からは想像できないほど弱弱しい。
「食事はとれるのかい?」
「少し。喉が痛いから、固形物は辛いわ」
「雑炊よりはおかゆがいいかな」
「ゼリーのほうがいい、かも」
「ちょうど、買ってきたよ」
袋から取り出して、飲みやすいように軽くもむ。
「何をしているの?」
「ゼリーを砕いているんだよ。これをやると宣伝みたいに一気...
「そうなの。物知りね」
「へっへっへ、褒められた」
蓋をねじ切って、渡すと彼女はそっと受け取った。
そして、ゆっくりと口をつけて吸った。
「ゼリーまで食べれなかったら、どうしようかと思ったわ」
「その時は何か、別の手を考えるよ。こう見えても病への対処...
「そう、それは、頼りがいがあるわ」
「だが、高くつくぜ」
「報酬がいるのね」
「ただのものなんかないからなぁ。全快したらデートしてくれ...
こんなかわいい子とデートできたらいいな、という下心はある。
でも、そこまでは思っていない。
強制したところで面白くないと相場が決まっているし、盛り上...
そんな技術はないわけで、
「いいわよ、デート」
高熱の人間特有のふわふわとした調子で彼女は続ける。
「場所は任せるわ」
冗談です、と取り消せる雰囲気ではない、と理解した。
次の瞬間に体は直立姿勢になって、口からは
「全力でエスコートします」
と出ていた。
もう、引き下がれない。
「あなたを見ていたら元気が出てきたわ。今日はきてくれてあ...
「まだ、来てそんな時間が経ってない」
「うつすと悪いもの」
それは一理ある。
ベッドサイドのテーブルにスポーツドリンクと買っておいた紙...
ここなら手元届きやすく、水分不足に困ることはないだろう。
「ありがとう、気が利くわね」
「一生分のありがとうを聞いた気がするよ。それじゃ、お大事...
「ええ、頼りにしているわ」
玄関の扉を静かに閉めると、夏の直射日光が身体を焼く。
この時期の風邪は辛いものだ。
はやく快復するよう祈りつつ、彼女のいるマンションを後にし...
宇宙生物が風邪を引くとはこれまた興味深い話だ、とも思った...
帰り道、そんなことを思った。
終了行:
[[DAYS]]
午後の講義が休講になってしまい、膨大な時間をどう過ごそう...
メッセージの差出人はカシスだ。
風邪をひいたので看病してほしい、と簡潔な内容だったが僕は...
彼女が風邪を引くとは考えにくいからだ。
風邪を引いているかどうか確かめるのもありか、と安さだけが...
しかし、夏風邪かぁ、と電車の窓の外を見る。
あんな姿かたちを自由に変える宇宙生物が地球の風邪を引くの...
もっと、性質が悪いもので人類もころっとやってしまうような...
ま、それはないか、と考え直して電車を降りる。
ホームに出ると蒸気を含んだ空気が身体を包む。
全身から汗が噴き出すを感じながら、彼女の部屋があるマンシ...
途中、コンビニでスポーツドリンクとゼリーを買ったけど、こ...
玄関ホールの機械で部屋番号を入力し、呼び鈴を鳴らす。
やや、間があってから「入って」の声。
いつもより元気がない。
ありがとう、と返事をして中に入る。
エレベータが彼女のいるフロアに向かうにつれて、風邪ではな...
部屋の前につくころには心配になっていて、鍵が開くと扉を勢...
間取りは覚えている。
靴を脱いで彼女の寝室に向かう。
ノックをすると、
「どうぞ」
と彼女の声。
いつもよりおとなしい声だった。
ドアノブに手をかけ、静かに回して、押す。
視界に飛び込んできたのはベッドでぐったりとしているカシス...
こういう時、1DKの部屋はありがたい。
「大丈夫、ではなさそうだね」
「ええ、ごめんなさい」
「呼び出しておいてずいぶんと弱気じゃないか」
椅子をベッドの隣において座る。
彼女はこほこほ、と咳をした。
「何がいいかわからないから、一般的なものを買ってきたよ」
「ありがとう」
その声は普段の彼女からは想像できないほど弱弱しい。
「食事はとれるのかい?」
「少し。喉が痛いから、固形物は辛いわ」
「雑炊よりはおかゆがいいかな」
「ゼリーのほうがいい、かも」
「ちょうど、買ってきたよ」
袋から取り出して、飲みやすいように軽くもむ。
「何をしているの?」
「ゼリーを砕いているんだよ。これをやると宣伝みたいに一気...
「そうなの。物知りね」
「へっへっへ、褒められた」
蓋をねじ切って、渡すと彼女はそっと受け取った。
そして、ゆっくりと口をつけて吸った。
「ゼリーまで食べれなかったら、どうしようかと思ったわ」
「その時は何か、別の手を考えるよ。こう見えても病への対処...
「そう、それは、頼りがいがあるわ」
「だが、高くつくぜ」
「報酬がいるのね」
「ただのものなんかないからなぁ。全快したらデートしてくれ...
こんなかわいい子とデートできたらいいな、という下心はある。
でも、そこまでは思っていない。
強制したところで面白くないと相場が決まっているし、盛り上...
そんな技術はないわけで、
「いいわよ、デート」
高熱の人間特有のふわふわとした調子で彼女は続ける。
「場所は任せるわ」
冗談です、と取り消せる雰囲気ではない、と理解した。
次の瞬間に体は直立姿勢になって、口からは
「全力でエスコートします」
と出ていた。
もう、引き下がれない。
「あなたを見ていたら元気が出てきたわ。今日はきてくれてあ...
「まだ、来てそんな時間が経ってない」
「うつすと悪いもの」
それは一理ある。
ベッドサイドのテーブルにスポーツドリンクと買っておいた紙...
ここなら手元届きやすく、水分不足に困ることはないだろう。
「ありがとう、気が利くわね」
「一生分のありがとうを聞いた気がするよ。それじゃ、お大事...
「ええ、頼りにしているわ」
玄関の扉を静かに閉めると、夏の直射日光が身体を焼く。
この時期の風邪は辛いものだ。
はやく快復するよう祈りつつ、彼女のいるマンションを後にし...
宇宙生物が風邪を引くとはこれまた興味深い話だ、とも思った...
帰り道、そんなことを思った。
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