『フォローアップ』 をテンプレートにして作成
ページ一覧
開始行:
[[DAYS]]
* 『フォローアップ』 [#m0a0c5ae]
『姉さん、またふられたのか』
『放っておいて』
『なら、そっちから電話しなければ良いだろう』
『……』
『……どちらが年上なのかわからなくなるな。姉さん、しっかり...
受話器から聞こえてくるのは静かに泣く声だ。
『今からそっちに行くよ』
受話器を置いてから文人はため息。
あの事故が身体に与えた影響は大きい。
不老技術の副作用である短命化を起こさず、不老になっている...
もしかすると、不老不死に近いものになっているのかも知れな...
人間とアンドロイドの恋愛が大変だと言われる理由に寿命の差...
アンドロイドの方が人間よりもずっと長生きなのだ。
そのため、価値観や考え方に違いが生じ、関係が瓦解する。
これが文人や真理にも当てはまる。
ただ、文人の相方はアンドロイドであり、なおかつ、文人の特...
それが真理と文人の大きな違いだった。
迂闊だった、と文人は真理の部屋の前でため息をついた。
すぐに表情を戻し、インターホンを押す。
返事はない。
「入るよ」
スライド式の扉の横のカードリーダにIDカードを通す。
部屋の中は真っ暗で、扉が開いたと言うよりはぽっかりと黒い...
文人が部屋の中に入ると、扉は自動で閉まり、真っ暗になった。
何も見えず、明かりをともす気にもなれず、文人は目が慣れる...
その間、ずっと、姉の静かな泣き声を聞きながら。
目が慣れたのは部屋に入ってから、数分経ってからだ。
部屋があちこちにあるわずかな光に照らされ、浮かび上がる。
見渡すとベッドの上に布団の塊があった。
「姉さん……」
声をかけると同時、泣き声は止まり、返事が来た。
「何よ。笑いにでも来たの?」
「違う」
「良いよね、文人は。相手がアンドロイドで」
「相手の種なんか関係ないだろう」
「そうかな?」
「そうだよ。どうして、姉さんはそうやって都合の良いように...
ここでどうにかしなければ繰り返しだろう、と文人は覚悟を決...
「だって、いつかは独りになっちゃうんだよ……。話しても理解...
「僕らだっていつ死ぬかわからないだけだよ。自分だけ遺され...
彼女がアンドロイドだからあっさりと理解してくれたのか。
「でも」
「姉さんだってケガをするだろう? 交通事故で即死する可能性...
「相手だってそうでしょ」
「だから、互いにだって言っているだろう」
結局のところ、この姉は寂しいのではないか、と文人は思う。
前に自分の相手が長期間出かけたとき、励ましてくれたのは姉...
自分のやっていることは恩を仇で返しているだけではないのか。
「僕だっていつ、居なくなるかわからないんだよ」
ベッドに腰を下ろして文人は続ける。
「ただ、力になれる限りはそうするよ。さっきは言い方が悪か...
布団の塊が動いて、真理が顔を出す。
整った顔が涙でぐしゃぐしゃだ。
照れ笑いを浮かべて、
「……どうかしてたみたい。そろそろ、慣れても良いはずなんだ...
「慣れないのは若い証拠だろう」
「余計なことは言わないの」
文人はポケットからハンカチを取り出して、真理の涙をそっと...
さて、とと言って立ち上がろうとする文人の手を真理の手が掴...
「もう少し、そばにいて」
「わかったよ」
終了行:
[[DAYS]]
* 『フォローアップ』 [#m0a0c5ae]
『姉さん、またふられたのか』
『放っておいて』
『なら、そっちから電話しなければ良いだろう』
『……』
『……どちらが年上なのかわからなくなるな。姉さん、しっかり...
受話器から聞こえてくるのは静かに泣く声だ。
『今からそっちに行くよ』
受話器を置いてから文人はため息。
あの事故が身体に与えた影響は大きい。
不老技術の副作用である短命化を起こさず、不老になっている...
もしかすると、不老不死に近いものになっているのかも知れな...
人間とアンドロイドの恋愛が大変だと言われる理由に寿命の差...
アンドロイドの方が人間よりもずっと長生きなのだ。
そのため、価値観や考え方に違いが生じ、関係が瓦解する。
これが文人や真理にも当てはまる。
ただ、文人の相方はアンドロイドであり、なおかつ、文人の特...
それが真理と文人の大きな違いだった。
迂闊だった、と文人は真理の部屋の前でため息をついた。
すぐに表情を戻し、インターホンを押す。
返事はない。
「入るよ」
スライド式の扉の横のカードリーダにIDカードを通す。
部屋の中は真っ暗で、扉が開いたと言うよりはぽっかりと黒い...
文人が部屋の中に入ると、扉は自動で閉まり、真っ暗になった。
何も見えず、明かりをともす気にもなれず、文人は目が慣れる...
その間、ずっと、姉の静かな泣き声を聞きながら。
目が慣れたのは部屋に入ってから、数分経ってからだ。
部屋があちこちにあるわずかな光に照らされ、浮かび上がる。
見渡すとベッドの上に布団の塊があった。
「姉さん……」
声をかけると同時、泣き声は止まり、返事が来た。
「何よ。笑いにでも来たの?」
「違う」
「良いよね、文人は。相手がアンドロイドで」
「相手の種なんか関係ないだろう」
「そうかな?」
「そうだよ。どうして、姉さんはそうやって都合の良いように...
ここでどうにかしなければ繰り返しだろう、と文人は覚悟を決...
「だって、いつかは独りになっちゃうんだよ……。話しても理解...
「僕らだっていつ死ぬかわからないだけだよ。自分だけ遺され...
彼女がアンドロイドだからあっさりと理解してくれたのか。
「でも」
「姉さんだってケガをするだろう? 交通事故で即死する可能性...
「相手だってそうでしょ」
「だから、互いにだって言っているだろう」
結局のところ、この姉は寂しいのではないか、と文人は思う。
前に自分の相手が長期間出かけたとき、励ましてくれたのは姉...
自分のやっていることは恩を仇で返しているだけではないのか。
「僕だっていつ、居なくなるかわからないんだよ」
ベッドに腰を下ろして文人は続ける。
「ただ、力になれる限りはそうするよ。さっきは言い方が悪か...
布団の塊が動いて、真理が顔を出す。
整った顔が涙でぐしゃぐしゃだ。
照れ笑いを浮かべて、
「……どうかしてたみたい。そろそろ、慣れても良いはずなんだ...
「慣れないのは若い証拠だろう」
「余計なことは言わないの」
文人はポケットからハンカチを取り出して、真理の涙をそっと...
さて、とと言って立ち上がろうとする文人の手を真理の手が掴...
「もう少し、そばにいて」
「わかったよ」
ページ名:
サイト内検索
and
or
FrontPage
サイトトップに戻る
NAMED
ロッシュの限界
カッシーニの空隙
オールトの雲
エンケの空隙
EKBO Phase 2
電子遊泳/プリステラ
ゴースト1とアレゲな仲間たち
創者の憂鬱
濡れ羽色の恋
悪意なき悪意
リビングフィールド
Appleの回し者
青い星に届くまで
蜘蛛の糸
深遠の果てより
ぎょがんれんず
記憶の司書
天使のように君は立ってた
イデアダイバー
鎮痛の神
白波トップウォーター
霧の森の灯台守
真空のセントエルモ
↑
資料・小説など
設定資料
小説
追加シェル・バルーン
メモ
諸注意
ゴースト著作権意識
最新の20件
2024-12-29
霧の森の灯台守
2024-12-28
真空のセントエルモ
2024-12-15
『ポイント・オブ・ノー・リターン【G1-2】』
DAYS
2024-11-28
カッシーニの空隙
2024-11-17
『次のトラックを再生します【Depth EX 3】』
2024-10-20
『本は増えるもの【D-A-1】』
2024-10-02
『I see you【D-U-1】』
2024-09-14
『What you want(4)【D-L-4】』
2024-09-01
『What you want(3)【D-L-3】』
2024-08-18
『What you want(2)【D-L-2】』
2024-08-04
『What you want(1)【D-L-1】』
2024-07-14
『第44話 その船の名はユーフォニィ Spec II【Depth EX 2】』
2024-06-30
『瞳の中の予感【D-F-1】』
2024-06-16
『境界線 5【G2-5】』
2024-06-02
『境界線 4【G2-4】』
『境界線 3【G2-3】』
『境界線 2【G2-2】』
『境界線 1【G2-1】』
『異界化現象 No.38【G1-1】』
Counter: 0, today: 0, yesterday: 0