#author("2018-06-16T16:30:12+09:00","default:sesuna","sesuna") [[DAYS]] 「坂下さんは部活、何か考えてるの?」 カシスはノートから目を離して、声の主を見る。 クラスメイトの木下だ。 「特に考えてないわ」 「そうなんだ」 含みがある言い方だとカシスは思った。 「水泳好きなら、ぜひ、我が水泳部に!」 「水泳は好きだけど、部活は考えてしまうわ」 「えー、どうしてー。大会優勝だって夢じゃないのに」 好意的に見てもらえるのはありがたいが、人間同士が競い合って初めて成立する。 それにFSである自分が参加するのは、大会の趣旨を根底から覆してしまう。 カシスはやんわりと断ることに決めた。 「泳ぐのは好きだけど、競い合うのは好きじゃないのよ」 「水と戯れるのが好きな感じ?」 「そうね、そんな感じよ」 「じゃあ、しょうがない」 木下はありがとね、といって離れていく。 それと同時にいつの間に集中していた視線も消えていく。 「部活ね」 特に考えていなかった。