DAYS

「まさか、課題がこんなに多いだなんて」
横にノートと筆箱をよけて黒髪の少女は机に突っ伏した。
「一日にやるには多いわよ」
白髪の少女は苦笑しながら言った。
手にはマグカップが2つ。
「いい匂い……」
「ローズヒップティーよ」
受け取りながら、
「お洒落ー」
と笑う。
「何も今日一気に片づけなくてもよかったじゃない」
「あー、言わなかったっけ。明日、家族で出かけることになったから」
「なるほど、それでね」
ローズヒップティーを一口飲むとさわやかな酸味が口の中に広がった。
「坂下さんは出かけないの?」
会田の問いに坂下は、
「連休中はどこも混んでいるから難しいのよ」
「朝早くに出かけると空いてるよ」
「それができればいいけど、そうもいかないの」
「面倒を見ないといけない人がいる、とか?」
「そんなところよ」
「ふぅん、大変なんだねぇ」
ゆっくりとお茶を飲みながらいう。
「大変というほどでもないのよ。家のことは私がやっているだけ」
「お父さんとかお母さん、いないんだっけ」
「今は兄と二人暮らしよ。その兄も仕事が忙しくて」
坂下は笑ってみせる。
「強いねえ」
「なかなか遣り甲斐はあるわ。兄がダメなヒトだから」