DAYS

「戦闘ものが途中から日常生活ものに路線変更するのはありなのかな?」
瞬子はディスプレイから天井に視線を向けていった。
何か面白い本はないか、と探していたカシスはその手を止めて、しばし考えると、
「面白いならそれでいいのではないかしら」
「その面白いが難しいのよねぇ」
そうつぶやく瞬子の声に深刻さはない。
「そういう話が書きたいなら、外伝や後日談の形でいくらでもできるでしょう?」
これはプロ、アマ問わずに使われている手法で王道と言ってもいい。
「戦闘終結してもその話を描きたいっていうか」
「つまり後日談とは違うのね」
「第2部、みたいな」
「それなら筋は通っていると思うわ」
「ちょっと、書く内容が変わるから頑張らないとだけど」
「あなたなら何とかなるわ。それにそういう生き方の存在が目の前にいるじゃない」
カシスは、本棚から本を引き抜くと、瞬子のベッドの上に腰かけ、ページを手繰る。
彼女が笑いをこらえているような気配を背中で感じて、瞬子は微笑みながら、
「そうだった」