『交流戦(オールトの雲対エンケの空隙)』 をテンプレートにして作成
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開始行:
[[DAYS]]
*『交流戦(オールトの雲対エンケの空隙)』 [#ide20aae]
アリウムのプレイヤーが目を覚ましたのはついさっきの事だ。
目覚まし時計を見れば、朝の6時40分とはやい。
外はまだ暗く、空気もどこか夜の気配を含んでいる。
布団から出たくは無い、と思っていても目は覚めてしまってい...
「えいっ」
声を出して布団を押しのければ、冷たさが身体を襲う。
「さすがに無茶だったかなぁ」
自分の身体を浅く抱きながら、ベッドから降りて着替え始める。
脱いだパジャマをたたんで箪笥の上におくと、部屋を出て1階の...
父親を見送りながらの軽い朝食を済ませて、自分の部屋に戻る...
いくつかスパムメールがあったようだが、フィルタリングされ...
受信ボックスにギルドマスターからのメールがあった。
差出人はオールトの雲ギルドマスター、件名は交流戦について...
「交流戦?」
疑問をそのまま、口にしながらメールを開く。
本文を読めば疑問は解けるがさらに声を呼んだ。
驚きの声だった。
『今回の交流戦、なかなか、面白いカードですねぇ』
『エンケの空隙のスグリとオールトの雲のアリウム、です。え...
『この街の人は皆知っているかと』
『という事で、今回はアリウムの紹介をしようと思います。職...
『そのまんまですねぇ』
『彼女の強みは時折混ぜる銃撃ですよ』
『ほぅ。でも、時折なら弱いんじゃないでしょうか』
『そう思わせるのが彼女の策なのかもしれませんよ』
『なるほど、混乱させるのが得意な解説はアパカタ。実況は私...
このフィールドには自分達しかいないが、戦いの様子は皆が見...
以前は観客席を設けてあったのだが、観客が乱入し戦いが中断...
狭いフィールドの中央に2つの人影がある。
一人は黒の衣装を身にまとった魔術師スグリ。
一人は白の衣装を身にまとった銃剣士アリウム。
「緊張しなくてもいいわよ」
声をかけてきたのはスグリの方だ。
「大丈夫だよ。そういうスグリは?」
不敵な笑みを浮かべてアリウムが返す。
スグリは呼び捨てにされたことも構わず、微笑みすら浮かべて、
「緊張なんて縁のない話よ。お互い、楽しみましょう」
「うん」
試合開始まで互いにその姿勢を崩さない。
二人の距離はおよそ、5m程度しか離れていない。
この間合いは魔術師にとっては非常に不利な距離だった。
詠唱には時間を要するので、20mは距離を離さなければならない。
だが、この距離なら走れば一気につめられてしまう。
非常に銃剣士が有利な設定にしてあった。
二人の中央、大きなホログラムに10と数字がでる。
カウントが始まる。
アリウムには数字の切り替わる瞬間が非常に長く感じられる。
強がりは言っても緊張しているのだ。
相手はあのスグリなのだから、と自分に言い聞かせる。
この間合いならすぐに近寄って、口を封じれば攻撃はできない。
それぐらいは向こうも承知の上だろう。
中距離からの攻撃を仕掛けるか?
いや、それは向こうの得意な間合いでもある。
一か八か飛び込むか。
数字が0になる。
アリウムは地面を蹴って疾走、赤い髪の毛が風に流れる。
対するスグリは動きを見せず、いや、唇が動き詠唱をしている。
詠唱を完了させる前に仕掛けなければ、こちらが不利になる。
残り1m、この距離なら右腕の剣が届く。
思考と同時に身体が動き、剣をスグリの顔面に向けて打ち込む。
剣から伝わるのは硬い感触だ。
頭蓋とは別の。
「良い判断だわ」
顔面に剣が迫ったというのにスグリの声は動じていない。
スグリの右手には大きな氷柱が握られていた。
それがアリウムの剣を受け止めたのだ。
アリウムはバックステップして距離を取った。
「さすがはスグリ様」
「度胸があるのは良いわね」
「それはどうも」
言い終わると同時に斬りこむ。
狙いは右側面だ。
それも氷柱の剣に阻まれ届かない。
すぐさま、左の銃を発砲。
至近距離の一撃。
「残念でした」
緑の光の盾が銃弾を受け止めている。
シールドだ。
「でも、これでシールドは使えないよ!」
「シールドに頼っていたら近距離では戦えないでしょう?」
同時、アリウムの右手をスグリの左手が掴んだ。
一本背負いの要領で投げられる。
一瞬、灰色の空が見えて、落下。
アリウムは受身を取り転がる。
「アイスブラスト」
術名で詠唱は確定だ。
飛んでくるのは無数の氷の矢。
アリウム、転がる力を使い身体を起こしてサイドステップ。
正面を見ればスグリが詠唱を開始している。
右の手で左の銃を支えて発砲。
銃声と同時に再び、氷の矢が飛んでくる。
金属と氷の弾丸がぶつかりあり、互いに互いを食い止め、砕く。
硝煙のこぼれる銃をおろして、姿勢を楽にしてアリウムは問う...
「どうして、さっきは詠唱しなかったの?」
「さっき?」
「とぼけないでよ。始めたばっかりのときにどうしてさ。これ...
「やろうと思えば出来たわ」
目を閉じて笑みを浮かべながらスグリは応えた。
「ずるいよ。そんなの」
「ずるくはないわ。交流戦だもの」
一息おいて、
「演技をするのはどうなのかしら?」
「作戦の内だよ!」
アリウムが疾走を開始する。
今度は左から回り込む形での突撃だ。
彼女の正面から撃ち込まれてくるのは先よりも密度の高い氷の...
目で追い、サイドステップでかわし、銃撃で砕き、スグリとの...
「追加よ!」
追加されたのは幅3m、高さ3m、長さ6mの巨大な氷塊だ。
サイドステップによる回避も銃撃も間に合わない。
ならば、使うのは右の剣と一体になっているシールド。
鋭角に展開すれば、実体のない巨大な剣となる。
地面を全力で蹴って身体を前に飛ばす。
それは飛翔とも言えるもの。
氷塊に激突すれば、推力は失われる。
左手のシールドを地面に突き立てるように展開し、推力を得る。
意志を伴った剣が氷塊を文字通り砕く。
氷の破片の向こうに見えるのは笑みを浮かべたスグリ。
シールドの刃先がのど笛に届く直前で効力が切れた。
刃先から消える。
だが、シールドの本体である刃は消えない。
「いっけぇ!」
声と共に繰り出した右の剣が氷の剣に阻まれる。
直後、アリウムは左の脇腹に熱を覚えた。
視界に被さる形で右上に被ダメージを知らせるメッセージ。
「でも……」
アリウムの左腕の銃口から硝煙が上がっている。
見ればスグリの右の脇腹を撃ち抜いている。
今の描画設定では血を確認できないが、致命的なダメージを与...
「やるわ、ね」
暗くなる視界の中でスグリがゆっくりと倒れていること。
そして、自分も倒れていることを感じながら、アリウムの意識...
終了行:
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*『交流戦(オールトの雲対エンケの空隙)』 [#ide20aae]
アリウムのプレイヤーが目を覚ましたのはついさっきの事だ。
目覚まし時計を見れば、朝の6時40分とはやい。
外はまだ暗く、空気もどこか夜の気配を含んでいる。
布団から出たくは無い、と思っていても目は覚めてしまってい...
「えいっ」
声を出して布団を押しのければ、冷たさが身体を襲う。
「さすがに無茶だったかなぁ」
自分の身体を浅く抱きながら、ベッドから降りて着替え始める。
脱いだパジャマをたたんで箪笥の上におくと、部屋を出て1階の...
父親を見送りながらの軽い朝食を済ませて、自分の部屋に戻る...
いくつかスパムメールがあったようだが、フィルタリングされ...
受信ボックスにギルドマスターからのメールがあった。
差出人はオールトの雲ギルドマスター、件名は交流戦について...
「交流戦?」
疑問をそのまま、口にしながらメールを開く。
本文を読めば疑問は解けるがさらに声を呼んだ。
驚きの声だった。
『今回の交流戦、なかなか、面白いカードですねぇ』
『エンケの空隙のスグリとオールトの雲のアリウム、です。え...
『この街の人は皆知っているかと』
『という事で、今回はアリウムの紹介をしようと思います。職...
『そのまんまですねぇ』
『彼女の強みは時折混ぜる銃撃ですよ』
『ほぅ。でも、時折なら弱いんじゃないでしょうか』
『そう思わせるのが彼女の策なのかもしれませんよ』
『なるほど、混乱させるのが得意な解説はアパカタ。実況は私...
このフィールドには自分達しかいないが、戦いの様子は皆が見...
以前は観客席を設けてあったのだが、観客が乱入し戦いが中断...
狭いフィールドの中央に2つの人影がある。
一人は黒の衣装を身にまとった魔術師スグリ。
一人は白の衣装を身にまとった銃剣士アリウム。
「緊張しなくてもいいわよ」
声をかけてきたのはスグリの方だ。
「大丈夫だよ。そういうスグリは?」
不敵な笑みを浮かべてアリウムが返す。
スグリは呼び捨てにされたことも構わず、微笑みすら浮かべて、
「緊張なんて縁のない話よ。お互い、楽しみましょう」
「うん」
試合開始まで互いにその姿勢を崩さない。
二人の距離はおよそ、5m程度しか離れていない。
この間合いは魔術師にとっては非常に不利な距離だった。
詠唱には時間を要するので、20mは距離を離さなければならない。
だが、この距離なら走れば一気につめられてしまう。
非常に銃剣士が有利な設定にしてあった。
二人の中央、大きなホログラムに10と数字がでる。
カウントが始まる。
アリウムには数字の切り替わる瞬間が非常に長く感じられる。
強がりは言っても緊張しているのだ。
相手はあのスグリなのだから、と自分に言い聞かせる。
この間合いならすぐに近寄って、口を封じれば攻撃はできない。
それぐらいは向こうも承知の上だろう。
中距離からの攻撃を仕掛けるか?
いや、それは向こうの得意な間合いでもある。
一か八か飛び込むか。
数字が0になる。
アリウムは地面を蹴って疾走、赤い髪の毛が風に流れる。
対するスグリは動きを見せず、いや、唇が動き詠唱をしている。
詠唱を完了させる前に仕掛けなければ、こちらが不利になる。
残り1m、この距離なら右腕の剣が届く。
思考と同時に身体が動き、剣をスグリの顔面に向けて打ち込む。
剣から伝わるのは硬い感触だ。
頭蓋とは別の。
「良い判断だわ」
顔面に剣が迫ったというのにスグリの声は動じていない。
スグリの右手には大きな氷柱が握られていた。
それがアリウムの剣を受け止めたのだ。
アリウムはバックステップして距離を取った。
「さすがはスグリ様」
「度胸があるのは良いわね」
「それはどうも」
言い終わると同時に斬りこむ。
狙いは右側面だ。
それも氷柱の剣に阻まれ届かない。
すぐさま、左の銃を発砲。
至近距離の一撃。
「残念でした」
緑の光の盾が銃弾を受け止めている。
シールドだ。
「でも、これでシールドは使えないよ!」
「シールドに頼っていたら近距離では戦えないでしょう?」
同時、アリウムの右手をスグリの左手が掴んだ。
一本背負いの要領で投げられる。
一瞬、灰色の空が見えて、落下。
アリウムは受身を取り転がる。
「アイスブラスト」
術名で詠唱は確定だ。
飛んでくるのは無数の氷の矢。
アリウム、転がる力を使い身体を起こしてサイドステップ。
正面を見ればスグリが詠唱を開始している。
右の手で左の銃を支えて発砲。
銃声と同時に再び、氷の矢が飛んでくる。
金属と氷の弾丸がぶつかりあり、互いに互いを食い止め、砕く。
硝煙のこぼれる銃をおろして、姿勢を楽にしてアリウムは問う...
「どうして、さっきは詠唱しなかったの?」
「さっき?」
「とぼけないでよ。始めたばっかりのときにどうしてさ。これ...
「やろうと思えば出来たわ」
目を閉じて笑みを浮かべながらスグリは応えた。
「ずるいよ。そんなの」
「ずるくはないわ。交流戦だもの」
一息おいて、
「演技をするのはどうなのかしら?」
「作戦の内だよ!」
アリウムが疾走を開始する。
今度は左から回り込む形での突撃だ。
彼女の正面から撃ち込まれてくるのは先よりも密度の高い氷の...
目で追い、サイドステップでかわし、銃撃で砕き、スグリとの...
「追加よ!」
追加されたのは幅3m、高さ3m、長さ6mの巨大な氷塊だ。
サイドステップによる回避も銃撃も間に合わない。
ならば、使うのは右の剣と一体になっているシールド。
鋭角に展開すれば、実体のない巨大な剣となる。
地面を全力で蹴って身体を前に飛ばす。
それは飛翔とも言えるもの。
氷塊に激突すれば、推力は失われる。
左手のシールドを地面に突き立てるように展開し、推力を得る。
意志を伴った剣が氷塊を文字通り砕く。
氷の破片の向こうに見えるのは笑みを浮かべたスグリ。
シールドの刃先がのど笛に届く直前で効力が切れた。
刃先から消える。
だが、シールドの本体である刃は消えない。
「いっけぇ!」
声と共に繰り出した右の剣が氷の剣に阻まれる。
直後、アリウムは左の脇腹に熱を覚えた。
視界に被さる形で右上に被ダメージを知らせるメッセージ。
「でも……」
アリウムの左腕の銃口から硝煙が上がっている。
見ればスグリの右の脇腹を撃ち抜いている。
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