『航海者』

「例の小包の回収状況は?」

「99%完了してる。後、120秒もしないうちに回収できる」

「発信元不明の小包、か」

「不明でもないよ。小包に書いてある」

「……発信元は此処とは異なる世界ってファンタジーか?」

「ファンタジーというよりはSFの方が近いんじゃねぇの?」

「そしたら俺らはSF世界の住人か」

「小包の回収完了っと」

「お疲れ様。それにしても、すごい密度の情報だねぇ、この小包」

「これだけあれば実体化させることも可能だな」

「とは言っても、物質と情報の相互変換は過去に失敗しているし……」

「ううん、この小包には設計図が入っているから本当に出来るよ」

「ひょっとして俺らは今、すごい瞬間に居合わせているのかもしれない」

「ひょっとじゃないよ。今までの概念がひっくり返される」

「あの博士たちが居たら、どんな顔をしたのだろう?」

「自分の研究で一家全滅だなんて辛かっただろうね」

「感傷に浸っている暇があるなら、設計図読むの手伝ってよ」

「なんか、大昔にあげられた探査衛星みたいだな」

「この小包の中に入っている情報なんだけどさ」

「どうした?」

「どうも、ヒトが一人含まれているようなんだよね」

「!?」