『答え』

「そうすれば、私を止められるとお思いでしたか」

「銃弾が止まる、だと……ッ」

 目の前で停止した銃弾を見ながら、深瀬は安堵の息をついた。人質にとられ、銃を突きつけられ、撃たれた直後にするものではない。そのことに気がつき苦い笑いを浮かべる。

「シールドをピンポイントで展開すれば、このようなことも可能です」

「くそっ……シミュレーション通りにはいかないということか……」

 深瀬が前を見れば戦闘モードに入ったアルギズがいる。背中の翼からは白い光を零し、手には蜃気楼のように揺らぐライフルを握った……。

「私だってシミュレーションの結果は参考にしますよ」

 そして、告げる。

「投降してください。今ならまだ、引き返せます」

「投降とは悪い冗談だな……」

 深瀬の体を離して、叫ぶ。

「我々は叛乱を起こしたんだぞっ」

「起こそうとした、だろう」

 彼の言葉を補うようにアルギズが続ける。

「まだ、事は起こっていません。思うだけなら罪になりませんよ」