DAYS

『目幅の血涙とはさよならしたらしい』

「天気予報は雨になると言っていたっけ」
アズは灰色の雨雲を見上げて言った。
「先輩も抜けてるところがあるんっすね」
横にいる田中が言う。
「僕だって人間だよ。まぁ、アンドロイドもこういうミスをするが」
「俺、アズ先輩ほどアルギズ先輩のこと知らないっすよ」
「彼女といる時間は長いけど、そこまで詳しいわけではないよ」
と空を見上げたままアズ。
「俺よりは詳しいと思うっす」
「さて、それはどうなのやら」
横にある自販機を指さして、
「何か飲むかい?」
「あったかいレモンっぽいのがいいっす」
二人分の硬貨を自販機に食わせると、ボタンを押して、
「また、曖昧な」
出てきた飲み物を左手に取ると腕を伸ばして横にいる田中に渡す。
次に自分の飲み物を選択して、右の手に取った。
田中はにこにこ笑いながら受け取って、
「通じてるじゃないっすか」
「それもそうだ」
「先輩、ココアも飲むんっすね」
アズの持つ缶を興味深く見ながら言った。
「何処かの誰かが甘党だからね。そう言う田中も変わったじゃないか」
「たぶん、先輩と同じ理由っすよ」