『嘘つき』

「なぁ、カシス

「何?」

「どうして嘘をつくんだろうな?」

「いきなりね」

「ちょっとした疑問って奴はいきなり出てくるもんだろ」

「自分を守る為、ではないかしら」

「そういうものかなぁ」

「少なくとも、一瞬は先送りに出来るわ」

「一瞬のためにそれよりも長い時間を潰すのは頭悪くねぇか」

「悪いのは頭ではなくて、弱い心よ、きっと」

「……なぁ、嘘ついた経験でもあるのか?」

「無いと言ったらそれこそ嘘になるわ。……自分自身に対して大きな嘘をね」