『暑さに抗うために』

「あーつーいー」

「まだ、空調が復旧しないんですか?」

「ほかのところは、イクサイスで対応してるから、復旧作業が先送り気味らしい」

「戻りましょうか」

「気持ちはうれしいけど、テスターさんが日干しになるよ」

「それもそうですね……。あまっているイクサイスユニットを誰か着る、というのは駄目でしょうか」

「このチーム、基本的に年齢が高いからイクサイス着れないんじゃないかな……」

「どうしたんです?」

「あ、いや、まわりの視線が……」

「そういうことですか」

「そういうことってどういう……ってお前ら人囲んで何考えてるんだよ」

「たぶん、エプシロンに着せようということでは」

「い、いくら――」

―数分後

「この格好、酷く落ち着かないんだけど。なんか、すーすーするし」

「そのうち慣れますよ」

「慣れると言ってもねぇ。……三波さん、何で僕の髪触ってるの?」

「見事なツーテールですね」

「みなまで言うな」

「似合ってます」

「笑顔で言うなよ」