wired raven

文字通りの日記。主に思ったことやガジェットについて

翔くんまとめ

設定など

  • 140㎝ぐらい
  • 肌の色が白い
  • 髪の色も薄め
  • 体の線も細い
  • 全体に淡い感じ
  • 我はあって、周囲を配慮してどうこうすることがほとんどない
  • 気を許した相手には一言二言リアクションするタイプ
  • 意外と食べる

容姿

自販機前にて

暑くてやってられん。 スマートフォンをポケットにねじ込む。 先ほど、買ったばかりのペットボトルのスポーツドリンクは半分になっている。 一気に飲みすぎたな、と思っていると視線を感じた。 下に落とすと子供がひとり、こちらをじーっと見ている。 視線はペットボトルに注がれているようだ。 物は試しに右に動かすとその子供も視線も一緒に動く。 「喉が渇いたのか?」 こくこく、と頷いた。 この暑さならば仕方ない。 「飲むか?」 小首をかしげられた。 なるほど、回し飲みはデリカシーがなかった。 「何飲む? これも何かの縁だ。一本ぐらいおごってやろう」 表情は変わらずこちらをまっすぐ見てくるだけだ。 これは肯定か否定なのか悩みつつ、自販機に向けて歩き出す。 後ろを見れば、一歩離れたところをついてきている。 自販機の前について、希望はあるか聞いてみる。 自販機を見上げてたっぷり数秒してから、サイダーを指さした。 「これか?」 念のために聞くと、子供は首を縦に振った。 小銭を入れてボタンを押すと、がこん、と音ともにペットボトルが取り出し口に落ちてきた。 取り出して渡してやると、ペットボトルを両手で持って――固まった。 「飲んでいいんだぞ」 といっても動かない。 「開けられないのか?」 問うと視線を落とした。 「貸してみ」 思ったよりも蓋が硬い。 ペットボトルの癖に生意気だ。 あけて渡すと勢いよく飲み始めた。 炭酸なのによくやりおる。 「暑いから無理せず帰るんだぞ」 と説教じみたことを言って、帰ろうと回れ右。 歩き出したところで裾を引っ張られて止まる。 振り返れば例の無表情ととれる何とも言えぬ表情の子供。 「なんだい?」 子供はポケットからスマートフォンを取り出してこちらに見せる。 例のゲームアプリが起動している。 こちらも同じように見せるとこくこくと頷いた。 「わかった。一緒にやろう」 かすかに唇の両端があがったような気がする。 微笑というのも誇張した表現になりそうな微笑だった。

ねだって、うばいとれ

「僕、これが欲しいな」 と翔が指差したのはスマートフォンだ。 売り場の中央においてあるそれは、ディスプレイの仕方からしてお高いものだと察せられた。 ポップにはいかに優れた商品であるか書かれており、購買意欲を煽っていた。 そのポップより強力に煽っているのが翔だった。 彼は、上目遣いでおれを見上げてくる。 その瞳は潤んでいた。 高額の贈り物は相手にとって重荷になる可能性がある。 改めて彼をみると、瞳はさらに潤み、頰も赤くなっていた。 「欲しい」 とぽつりと呟いたのをおれは聞き逃さなかった。 聞き逃せなかった。 欲しいのなら、贈ろうではないか、とおれはすぐ横をとおりかかった店員に声をかけた。 彼の好きな赤色で在庫があることを確認すると、ごく自然に購入の手続きをすませ、ニコニコ現金一括払いで買った。 そして、袋を彼に渡すと、 「ありがと」 とはにかむように微笑んだ。 おれは、彼に勝てない、間違いなく。

あなたは膝枕にされてもいいしされるべきだ

本を読んでいると、膝になにかが乗った。 翔だ。 風呂がよほど気持ちよかったのか、寝ぼけているような雰囲気を漂わせつつ、人の膝を枕にしている。 髪の毛からシャンプーの匂いがする。 自分と同じものを使っているはずなのに違うように感じる。 こちらのほうが清潔感があるとでもいえばいいのか。 しかし、どうしたものかな、と考えている間に翔はそのまま眠ってしまった。 気持ちよさそうに寝ているのだから、このままにしてもいいだろう。 問題は細身であろうが、見た目が少女のようであっても成人男性だ。 比較的には軽いかもしれないが、それなりに重たいのだ。 はたして、おれの体は彼が起きるまで耐えられるのか。 おれの過酷で孤独な戦いがはじまったのだった。