[[DAYS]] * 『寝耳に何とやら』 [#g7daed99] 第500飛行隊の格納庫は第1から第5まであり、それぞれ、ばらばらに配置してあった。 一度の攻撃で全機体が破壊されないようにするためだった。 照明が必要最低限まで落とされた暗い第4倉庫に男の声が響く。 「さすがに歩き疲れたな。キャラクターだが」 男の台詞に返すものはいない。 が、誰かが聞いている。 格納庫には男以外に機械の竜が一機あるあけだ。 「田辺はどうした?」 男はその機械の竜に向かって尋ねた。 「睡眠中だ」 コックピットあたりから声が聞こえた。 声の主はパイロットではなく、竜そのものだが。 「そうけぇ」 竜の返答を流して、格納庫から出ようと思って立ち止まった。 この場合、「彼はログアウトした」とかそういう返答が普通ではないのか。 いや、仲が良いなら「睡眠中のようだ」とも返せるだろう。 この竜は睡眠中だと断言した。 断言した、ということは実際に見ている可能性もありうる。 「何で、お前が知っているんだ?」 「同じ場所にいるからだ」 竜は具体的に言わなかったが、プレイヤー本人ーーこの場合は本体が正しいーーは「田辺」を抱きしめて眠っている。 「そうけぇ」 「そうだ。何かあるのか」 「いんや。田辺と軽く話そうと思っただけさね」 そういって男は格納庫から出て行く。 さて、このネタをどうやって広めようか、などと考えながら。