『IFF:unknown』

「……」

ハガラズはスクール水着で猫目で猫耳で猫しっぽの少女を見下ろしていた。

背の高い彼と座っている少女なのだから、自ずとそういう形になってしまう。

最初はお前は泳がないのか、と誘おうと思ったのだが、特に何のリアクションも見せない。

「……」

何を思ったのか、ハガラズは少女の首根っこを猫掴みして、そのまま、スローイング。

派手な水柱を立てて、海面に消える。

「ちょ、ハガラズ、何やってんの!?」

「ついかっとなってやってしまった」

「お前、相手仮にも女の子なんだからさぁ」

「そうだよ、仮にも女の子相手に酷いじゃないか。謝れよ」

お前らも酷いこと言ってるな、と突っ込もうかと思ったところで、放り投げられた少女が海面を突き破って現れる。

その身体の何処にあるのかわからない勢いで、あたりに水がしぶいた。

長い髪の毛から水が滴り、前髪で目がほとんど隠れる。

が、そのせいかさらに不気味さが増した。

先ほど、謝れと言っていた二人の目と少女の猫目が合う。

二人の動きが完全に止まった。

「……そもそも、誰だ。こいつ連れてきたの?」