DAYS

『砂糖の柱』

八城の前の席にはアズリエル、その右隣にはアルギズが並んで座っている。
その八城の隣には落ち着きの欠ける田中が座っていた。
リーダの小鳥遊から外で打ち合わせをしてこい、と言われたのが理由でこの面子が揃った。
が、どうしたものか、と八城は心の奥で溜息をつく。
打ち合わせは何度もやっているし、手元の端末を使えば各チーム、各個人の進捗状況すら確認可能だ。
ようは、雑談程度の簡単な打ち合わせで良いのだ。
「しかし、お前らいつからそんな仲になったんだ?」
正面ではパフェの交換が行われていた。
「いつからでしたっけ?」
「さぁね」
見た者は砂糖の柱になるというバカップルとはこれか。
独り身の田中はさぞ落ち着かないだろう、と八城は思う。
「人前でいちゃつくのもほどほどにな」
「そんなにいちゃついてましたか?」
アルギズの言葉に八城は何も言わずにコーヒーカップを口に運ぶ。
「自覚症状がでたら末期だね」
「お前、わかって言ってるだろ」
「自覚症状は無いからまだ、大丈夫だ」
「自覚症状あるだろ、それ」
八城の突っ込みを無視して、
「貴月は元気かい?」
「ああ。相変わらずのやんちゃぶりだがな」
「親に似たのでしょうね」
「俺はまだやんちゃか」
苦笑いして八城は前席の二人を見た。
ふと、右を見ると田中が目幅の血涙を流していた、ように見えた。