DAYS

『人外キャラクターについて』

「ねぇ」
瞬子は後ろで背を伸ばして本棚から本を取ろうとしているカシスに声をかけた。
白の少女が動きを止める気配。
「何?」
少し背伸びをして、右の手で本を引き出しながらこちらに顔を少し向けているのだろうか、と黒の少女は考えながら、
「人外のキャラクターはどうやったら描けると思う?」
「ヒトだけどヒトから外れたキャラクター? それとも、ヒトではないキャラクター?」
白の少女の問いに黒の少女はヒトではないキャラクター、と答えた。
「そうね」
黒の少女は椅子が沈む音を聞いた。
そして、本を開きページをめくる音も。
「ヒトにはあり得ない要素を組み込むと良いと思うわ」
「異能力ね」
「そうね。容姿や思考、言語も」
また、ページをめくる音。
「思考や言語……その方が大切かも」
「どういう物語にしたいのかにもよるわよ」
黒の少女は両の手をあわせて、
「そうよね」
「会話しないなら、言葉が通じなくても大丈夫でしょう。言葉の背景にある文化や思考も」
「人と会話するなら共通の要素がある程度は必要だわ」
「共通の言語を使っているけど、思考が全く異なる方が異質さは強調されると思うわ」
白の少女の言葉に黒の少女は頷いて、
「ありがとう。キャラクターを考える参考にするね」
「聞く相手を間違えているとは思わないの?」
カシスちゃんだから聞きたかったの」
「そう」
再び、白の少女は本をめくりはじめた。
キーを叩く音と本をめくる音が部屋に満ちる。